Cherry Blossoms〜甘美な恋の罠〜

桜士がいつものように「大丈夫ですよ」と一花に声をかけようとした時、人の声をかき消してしまうほど大きなグルルルルという音が響く。お腹が鳴った音だ。

「……誰？」

リティクが訊ねると、少し恥ずかしそうにオリバーが「俺」と言いながら手を挙げる。すると一花はパッと笑いながら言う。

「せっかくだし、みんなでご飯行かない？もちろん本田先生も一緒に！」

この廃墟から三十分車を走らせれば、ファミレスがある。そこで食べようと一花が提案すると、「まあ、みんなとご飯は嬉しいけど……」とヨハンがチラリと桜士を見て嫌そうな顔をする。だが、他のeagleのメンバーは賛成のようだ。

「賛成、賛成、大賛成〜！！」

アルフレッドがはしゃぎ、「早く行こ。お腹空いた」とアルオチが自身のお腹に手を当てる。リティクが車を取りに行き、その様子を見ていた桜士の手をそっと一花が握る。

「本田先生、行きましょう？」

「はい！」