巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
16 襲来
エリーさんが孤児院へ来てくれた日の夜もエルは現れなかった。
(これは本当に廃神殿に閉じ込められている可能性が高くなってきたな……)
婦人会のおばさま方に連絡をとって、子供達を見て貰うように頼んだけれど、やはり突然の事だったので今すぐという訳には行かず、二日後に見て貰える事になった。
それでも十分に有り難い。また今度何かお礼をしなければ、と心のメモに記す。
そして出発する前の晩、エルの心配をしながら廃神殿へ行く準備をしていると、窓の外に人の気配を感じた。
(……!! まさかエル……!? 廃神殿から出て来れたの……!?)
私が心逸らせながら窓に近づくと、窓の外で黒い影が動いている事に気づく。その影を見た瞬間──背中を悪寒のようなものが駆け巡る。
(違う……!! これはエルじゃない!!)
外にいる何かが明らかに悪意を持っていると気付いた私は、慌てて窓から離れて部屋から出ようと踵を返す。そしてドアの取っ手を掴んだ瞬間、「ガシャーーーン!!」と部屋中に窓ガラスが割れる音が響いた。
「な……!?」