巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。

「サラ……っ! 大丈夫ですか!?」


 黒い飛竜からひらりと飛び降りたエルが私のもとへ走って来る。その綺麗な顔も優しい声も、確かにエルなのに、その髪の色だけが違っている。


「……エル、一体どうして……」


 そう言葉に出したものの、こんな状況で一体何から聞けば良いのか混乱する。いつもと違う髪の色や、希少だと言われている飛竜に乗っていた事、どうしてこの場所が分かったのか……聞きたい事は山ほどある。

 私がエルに何から質問しようか悩んでいると、馬車の中から司祭が降りて来て、エルに向かって腰を折り深く頭を垂れた。


「……なっ!?」


 ──そんな司祭の様子を見た私は酷く驚いた。


 アルムストレイム教の司祭が頭を垂れるのは自分より上位の聖職者に対してのみだ。高位の貴族に対しても精々会釈する程度なのに、司祭はエルに対しては最上位の礼を以て接している。

 だから司祭が悪魔相手に最上位の礼を取るなんて思わなかった私は思わず絶句してしまったのだ。……さっきから驚いてばっかりだけど。


(どうして司祭がエルに礼を……? エルは異形の者じゃないの……?)
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