巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
「へえ〜。今までこの道は何回か通ったことがあるけれど、こんな場所があるなんて初めて知ったなあ」
隊長さんが不思議そうに周りを見渡す。他の人達もキョロキョロと見ていて、誰もこの場所を知らなかったようだ。
「こんな場所、良く気が付いたわね。何だか古い神殿みたいだけれど」
隊長の奥さん──エリーさんに言われて改めて周りを見ると、所々に彫刻や壁画らしきものが描かれていた。
「今はもう使われていない神殿かな? 結構立派な造りのようだな」
「でも野営には丁度よい場所じゃない? 今日は雨も止まないでしょうから、ここに泊まりましょうよ」
エリーさんの一存で、今日はこの神殿跡で野営をする事になった。それでも危険がないかちゃんと調べようと、皆んなで神殿の奥へと足を踏み入れる。
ランプを持って暗い道……と言うか、廊下を進んでいくと、開けた場所に出た。どうやらここが最奥らしい。
「……あ。ここは……」
ランプで中を照らすと、そこには祭壇のようなものがあった。きっとここは祈りの間だったのだろう。