巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
「貴女はあのハンカチに何かされたのですか? 王宮の魔術師に見て貰いましたが、特別な術式が組まれた形跡もない普通のハンカチだと言われました」
「術式!? いやいやいや!! 私がした事って、ただエルの名前を刺繍しただけだし! 生地だって普通のものだし……!」
エルが王族だって知っていたらもっと高級な生地を用意したのに。庶民が普段遣いしている布を渡してしまった事に少し恥ずかしくなる。
「それに刺繍したものならいくつかランベルト商会に卸しているけど、今までそんな話は聞いた事がないよ!」
何か問題が起こればナターリエさんが教えてくれるだろうし、作品をおばさま方にプレゼントした事もあるけど、いつも喜んでくれているし。
(いつもと違うと言えば、エルを想って刺繍したぐらいかな……。まあ、これは話す必要ないか。こんなの知られたら恥ずかしいし!)
私の話を聞いたエルは、何かを考えているのか黙り込んでしまった。
「……何か思い当たる事でもあるの?」
「思い当たると言うか……もう一つお聞きしたい事があるのですがよろしいでしょうか?」