巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
28 お引越し
今日、私は孤児院の子供達と一緒に王宮の近くにあるという離宮へお引越しする。
子供達の物などはエルの部下さん達が荷造りをし、まとめて運んでくれるのでとても有難い。
そんなテキパキと働く部下さん達を小さい子供達が興味深そうに眺めている。
突然の事に初めは驚いていた子供達だったけれど、全員で引っ越すと言う事に安心したのか、反発もなく素直に離宮行きを承諾してくれた。
しばらくして部下さん達に慣れた子供達は自らお手伝いを申し出て、皆んなでワイワイと楽しそうに荷造りしている。
私は子供達が粗相しないか見守りながら、刺繍道具や少しの着替えなど必要な物を鞄に詰める。
王都まで三日程かかるので、子供達の面倒をみる合間に出来るだけ刺繍しようと考えているのだ。
(時間は有限だしね! それにエルへ贈るハンカチも刺繍したいし!)
急に決まった引っ越しだから、お世話になった婦人会のおばさま方へろくに挨拶が出来なかった事が心残りだけれど、もう帰って来られない訳じゃないし、児童養護施設の運営が落ち着いたら里帰りしようと思う。