巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
「え……っと、その、エルは私と取引しているでしょ? 悪魔は取引が終わるまでは相手の人間を害さないって話だし、だから大丈夫かなって……」
僕の疑問に、彼女は始めはしどろもどろに答えていたけれど、一瞬、思い直すかのように表情を引き締めると、はにかむような笑顔を浮かべた。
「まあ、そういう理由もあるけれど、本当は私がエルを……私達を救ってくれたエルを信じてるから、かな。たとえエルが悪魔だとしても、何者だとしても私はエルを──……」
──サラの言葉を遮ってしまうのも構わず、僕は彼女を力いっぱい抱きしめた。
その後に続く言葉を頭が理解した瞬間、身体が衝動的に動いてしまったのだ。
例え僕が神に仇なす悪魔だとしても、人々に恐れられ災いを齎す者だったとしても、何者でも構わずに僕を信用してくれる、そんな彼女を──どうしようもないほど好きなのだと、僕は痛切に思い知らされたのだった。