巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。

33 策略


 サロライネン王国の王都にあるアルムストレイム教の神殿本部で、司教達が集まって話し合いが行われていた。


「最近王宮の雰囲気が変わりましたな」


「確かに。以前はもっと息苦しい空気だったのが、随分穏やかになったような気がしますね」


「これは由々しき問題だと思うが? 王宮内は殺伐として貰わないと困る。平穏な王宮など我らは望んでいない」


 サロライネン王国王族の権威を失墜させたいアルムストレイム神聖王国にとって、王宮で働く人間が王族に対して不満感情を持っている状況が必要不可欠であった。


「噂によると孤児院の子供達を離宮に住まわせている様だな」


「そもそも孤児院の子供らをあの『紅眼の悪魔』に渡すとはどういう事だ?」


「あの孤児院は司祭の席が空席となっていただろう。その隙を奴に突かれたのだよ」


「忌々しい忌み子め……! 下手に優秀だから困る。王族など愚鈍なぐらいが丁度いいと言うのに」


 アルムストレイム教の司祭や司教、修道士達は長い時間をかけ、王太子の噂を吹聴してきた。実際、王宮内で王太子は恐怖の対象として見られ、誰もが畏怖していたのだ。
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