巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
それなのにたったの一カ月でその噂は払拭されてしまった──それも都合の良い手駒だと思っていた孤児達のせいで。
「忌み子の地位を失墜させるための努力が一瞬で失われるとは……! 長い年月をかけ、ようやく実を結ぶと思っていたこの時期に!」
「辺境の地とはいえ、なぜ司祭を派遣しなかったのだ? 聞くところによれば一年以上も空席だったと言うではないか」
「それがどうやらトルスティ大司教様の意向らしいぞ」
「──っ! 何だと!? トルスティ大司教様が……!?」
トルスティ大司教は、サロライネン王国のアルムストレイム教信徒達のまとめ役だ。その権力は国王に次ぐ強さだと言われている。
「そんな話は聞いていないぞ? 何故トルスティ大司教様はそのような事を……?」
「……もしや、例の客人が関係あるのか?」
司教達が戸惑うのも仕方がないことだろう。トルスティ大司教は厳格な性格で、空いた穴をそのままにしておくような人物ではないからだ。
「客人が滞在するようになって一年……時期的には合致するな」