巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
34 招待
「ねぇ、聞いた? ソリヤから来た子供達の事!」
「ああ、孤児院の子供達でしょう? 離宮で面倒を見ているらしいじゃない?」
「でも孤児達が王宮を出入りしているなんて……ちょっとねぇ……」
子供達が図書館で本を読んでいる間、外の空気でも吸おうと思い廊下を歩いていると、王宮で働いている使用人達が噂話をしているところに出くわしてしまった。
……予想はしていたけれど、私達に対してあまり好意的ではないようだ。
使用人とはいえ、王宮で働くのは比較的裕福な家庭出身の人が多い。それは身元がしっかりしている人間でないと王宮で雇って貰えないからだ。
だからある意味選ばれし者達からすれば、身分も何もない孤児達に良い印象を持っていないのは仕方がない事なのかもしれない。
だけどお爺ちゃん──司祭様はいつも言っていた。『見下されている孤児だからこそ、教育はしっかりしないといけない』と。
だから私は『教養を身に着ける事で自分の身を守る事が出来る』という合言葉のもと、子供達に出来るだけ勉強や礼儀を教えている──かつてお爺ちゃんが私に教えてくれたように。