巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
「ははは。そんなに畏まらないで下さい。お会い出来て光栄です。私はバザロフと申します。リナレス地方を司教区としているラキトフ神殿の司教です」
私は司教が自己紹介した内容に驚いた。司教が告げた名は先日私を拘束した(未遂だったけど)主犯だったからだ。
「初めてお目にかかります。私はソリヤ神殿で巫女見習いをしているサラと申します。先日は司教様の招聘にお答えできず大変失礼いたしました」
本当は招聘なんてもんじゃなくて拉致だったけれど、ここのところは波風を立てずに終わらせたい。
「あの時はお会いできるのを楽しみにしていたのにとても残念でした。しかしながら、こうしてお会いできたのは至上神のお導きでしょう」
「……はあ」
人を拉致しといて何言ってんだ? と思ったけれど、ここはぐっと我慢する。それに何だか嫌な予感がするので早々に立ち去らせていただこう。
「お会い出来て光栄でした。子供達を待たせていますので、私はこれで──」
──失礼します、と言葉を続けようとした私を、バザロフ司教が制止する。