巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。

35 鑑定


 バザロフ司教に乗せられた馬車の中で気まずい雰囲気に耐えることしばらく、馬車は神殿本部に到着した。


 道中、どうにか逃げ出せないかと窺っていたけれど、前回と同じ失敗はしないとでも言うようにバザロフ司教に隙は全く見当たらず、会話も全く無かった。


(流石に前回みたいには行かないよね……。エルだって私がいないってまだ気付いていないだろうし)


 あの時はエルの飛竜に馬が驚いたから隙が出来たけれど、この王都の真ん中で飛竜が飛んできたらパニックになってしまう。


 神殿本部の玄関の前で馬車が停車すると、私達を待っていたのだろう、修道士が馬車の扉を開ける。

 本来であれば目上のバザロフ司教が先に降りるけれど、私を逃さない為なのか先に私に降りるようにと目配せされた。


 バザロフ司教に促されて渋々馬車から降りると、修道士が「どうぞこちらへ」と言って私を建物の中へ誘導する。


 ちなみに神殿本部は様々な業務を行う本館の他に、大神殿と小神殿や司教館など、幾つかの建物が広大な土地の中に建てられているらしい。


(お爺ちゃんがいる貴賓室ってどこに有るんだろう?)
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