巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
大司教によると私は魔法が使えない人間らしい……。ちょっと残念。せめて初級の魔法でもいいから使ってみたかった……。
「残念ながら聖属性も持っていないようですね。彼の方が辺境の地で守り育てた娘と聞いて、もしや『聖母』かと期待したのですけどねぇ……」
勝手に期待しておいて期待はずれたったと、私に価値はないのだと、蔑みの目を向けられながら溜息混じりに言われてカチンとくる。
大司教というからどれぐらい立派な方なのだろうと思っていたけれど、結局は私を無理やり連れて来たバザロフ司教や、子供達を助けてくれなかったツルッとした司教達と大して変わらないではないか。
この神殿本部の聖職者からは、人を慈しみ、哀れな人々を助け、救いの手を差し伸べる──そんな慈愛の心が全く感じられない。
私がそう思った瞬間、聖なる光に満たされている筈の神殿が、急に色褪せて見えた。
──神の光は失われ、祈りの声は届かない。
光が失われたこの場所にいるのが嫌になった私は、早く離宮に帰りたくて堪らなくなる。
最早子供達の笑顔や笑い声で溢れているあの場所が、私にとっての聖域なのだ。