巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。

 結局、お爺ちゃんから詳しい話を聞く間も無く、馬車は王宮へと到着してしまう。


 王宮には子供達と何度も来ているので慣れている筈なのに、何故か今はとても入り難い。


(エルに会えるとはいえ、何だか気が重いなあ。うぅ、もうすでに帰りたいよ……)


 馬車から降りた私達を迎えに来てくれたのは、いつか神殿本部で会った、ツルッとした司教の付き人さんだった。


(あ、あの時の付き人さんだ……! 確かヴィクトルさんだったっけ?)


 初めて会った時は神殿本部から追い出されてすごく腹が立ったけれど、エルと出逢えたきっかけを作ってくれたのは間違いなくヴィクトルさんだ。

 それに困窮していた孤児院の事をエルに報告してくれなかったら、今の私達は無かったと思う。


「あの、お久しぶりです。以前神殿本部でお会いした事があるのですが……あ」


 つい声をかけてしまったけれど、もし私の事を覚えていなかったら……と考えて言葉を止める。だけどヴィクトルさんは私の事をバッチリと覚えていたようで、私を見てにっこりと微笑んだ。
< 308 / 503 >

この作品をシェア

pagetop