巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。

 闇属性を持って生まれたがために、神殿派の貴族達に影で忌み子と蔑まれ、王宮内ではその能力を恐れられながら育ったエデルトルートが、自分は一生幸せになれないと思うのも仕方がないことだろう。


 それでも周りの人間からの印象を少しでも良くしようと、エデルトルートはありとあらゆる事に全力で取り組んだ。普段、彼が臣下や使用人に敬語で話すようになったのもそのためだ。


 元々優秀だったエデルトルートが更に努力した結果、非の打ち所がない完璧な王子となるが、今度はその優秀さが畏怖の対象となってしまう。


 いくら努力しても報われない世界に、エデルトルートが絶望しそうになった時──彼はサラと出逢った。


 大輪の薔薇を思わせる赤みがかった髪に、翠玉の大きな瞳、屈託なく笑うサラに、エデルトルートが惹かれるのは時間の問題だった。

 実際、サラと会う度に想いが募るのを実感していたのだから。


 悪魔と勘違いしていても、王太子と気付いても、闇属性と知っても、サラは全く態度を変えず、エデルトルートを受け入れ、認めてくれた。


 それがどれだけエデルトルートにとって救いとなったか──きっとサラは気付いていない。


 ──闇に囚われた暗い世界で、エデルトルートは初めて自分だけの光を見つけたのだ。
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