巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。

 お爺ちゃんに言われてふと顔を上げると、お爺ちゃんの後ろで私を心配そうにしているエルが視界に入る。


 私がずっと泣いていたので、声をかけるタイミングが掴めなかったようだ。


「……っ、ご、ごめ……!」


 慌てて涙を拭おうと、服の袖で目をごしごしする私にエルが待ったをかける。


「サラ! そんなに擦ったら目を傷付けますから!」


 エルはそう言うと、やんわりと私の手を取り、代わりにハンカチで優しく涙を拭ってくれる。


 いつの間にか縮んでいたエルとの距離に、エルの綺麗な顔が近くにあって、思わず顔が真っ赤になってしまう。


 私があたふたと戸惑っていると、私達の様子を見てニヤニヤしているお爺ちゃんに気付く。


「ちょ……! 何でニヤニヤしてるのさ! その顔やめてよ!」


 赤くなった顔を誤魔化すように、お爺ちゃんに抗議する。もちろんそれが私の照れ隠しだと、お爺ちゃんには気付かれているけれど。


「ははっ! 殿下のおかげで元気が出たみたいだな!」


 私達を揶揄うように笑うお爺ちゃんだけど、その瞳はどこまでも優しげで。
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