巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。

「では、そろそろ広間に戻りましょうか」


 僕がサラへと手を伸ばすと、彼女は「うん!」と笑顔で僕の手を取ってくれた。


 こんなやり取りがこれからも出来るのだと思うと、僕の心が喜びに打ち震える。


 だけど、喜びを感じたのも一瞬で、立ち上がろうとしたサラの身体が、何の前触れもなく突然崩れ落ちる。


「っ!? サラっ!?」


 慌ててサラを抱きとめ、声をかけるけれど、彼女から反応が返って来ない。

 ただならぬ彼女の様子に、とにかく安静にさせなければと魔法を展開する。


『我が力の源よ 深淵の闇への扉となり 我を安息の地へと導け テネブラエ・オスティウム』


 これは最上位の闇魔法<影移動>の応用技で、予め固定していた座標へ移動出来る転移魔法だ。固有魔法と言われている空間魔法に近いもので、使える人間はほとんどいない。


 とりあえず、固定した座標の中から僕の寝室へと移動し、サラをそっとベッドに横たえる。それから外に控える衛兵に、シス殿と王宮医を内密に呼んで貰うように手配する。
< 367 / 503 >

この作品をシェア

pagetop