巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
49 出自(エル視点)
シス殿からアルムストレイム教の策略によって、闇属性が貶められたのだと聞いた僕は、怒りの炎が体中を駆け巡りそうになるのを何とか抑え込む。
「……自分達の利益のために、彼等はそんなことを……?」
ただその為に、僕は貶められ、母は心を壊されたというのか……!
王宮中の人間から畏怖され、化け物扱いされたのも、全て奴らの私利私欲のために……?
「……はい。アルムストレイム教上層部の腐敗はひどく、彼らは自分達の利益を守るためなら、教徒ですら利用するのです」
シス殿の知人も、闇属性だと判明した途端、全てのものを失ったという。
「私の知人はとても優秀な修道士でした。彼は魔法にも精通していて、将来は秘跡聖省に入省して魔法を研究したいと希望していましたが、闇属性だというだけで未来は閉ざされ、強制的に暗部へ配属されました」
そうして、シス殿の知人はそのうち嗜虐的な性格となり、無実の亜人を拷問した罪で処刑されたのだそうだ。