巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。

 教皇が交代しないまま、長い時間が経過したアルムストレイム教は、自浄作用が働かずに組織が腐り、そして聡明だった人間を歪めてしまうほどに、本来の性質から大きく変貌してしまったのだろう。


「話が逸れてしまいましたね。申し訳ありません」


「いえ、お話し下さり有難うございます。真実を知ることが出来て助かりました」


 今までは司祭達から心無い言葉を投げ掛けられる度に煩わしく思っていたけれど、これからはそんな悪意に惑わされずに済むのだから、今回教えてもらった話は僕にとってとても有難い。


「勿体ないお言葉をいただき有難うございます。……それで本題ですが、殿下は本当にサラを伴侶に望まれるのですか?」


 シス殿の真剣な表情に、これは最終確認なのだと理解した。きっと返答次第で僕の──いいや、この王国の命運が左右されるのだろう。


「はい。僕はサラ以外の伴侶は考えられません。サラでないと駄目なんです」


 サラが平民のままだったなら、僕は王族籍から抜けるつもりだった。だけど何の憂いもなくサラと結ばれるのなら、この国ごとサラを守りたいと心から思う。
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