巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
50 開花
──身体が熱い。
身体の奥から渦巻く炎が溢れ出て、まるで全身が燃えているみたい。
今の私はきっと高熱を出しているのだろう。
胸の奥から溢れ出てくる何かのせいで身体が悲鳴を上げているけれど、ずっと一緒にいた大切なものが消えていくような喪失感に、身体よりも心が押し潰されそうに痛い。
(……いや……! きえないで……!)
大切なものが失くならないように必死に守ろうとするけれど、そんな努力も虚しく、大切なものはどんどん小さくなっていく。
そして、胸のあたりが一瞬”チリッ“としたと同時に、消えそうな程小さくなった大切なものが、私から完全に離れてしまう。
(だめ……! いっちゃやだ! おいていかないで……!)
生まれた時からずっと一緒にあった大切なものとの突然の別れに、私は悲しくて悲しくてボロボロと涙を零しながら大泣きしてしまう。
そんな泣きじゃくる私の頭を、そっと優しく撫でる感覚がする。
お爺ちゃんの大きい手とは違う、細く柔らかい手の感覚を不思議に思う。
(だれ……?)
『……貴女の幸せを願ってる──愛しい子──……』