巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。

 この孤児院は街の人達からの善意の寄付で成り立っている。でも小さい街で特出した産業も無く観光資源も無い街なので、これ以上寄付を募るのも憚られる。

 街の人達は一人で孤児院を切り盛りしている私をよく気遣ってくれるし、何かと気にかけてくれるお陰で何とか生活出来ているのだ。

 ちなみに私は街にある商会から刺繍の内職の仕事を貰っている。趣味と実益を兼ねて、少しでも運営の足しに出来ればと思ったのだ。でも、それでも司祭様がいる時はここまで困窮していなかったから、きっと私が力不足なのだろう。


「どうにかしてお金を稼ぐ方法は無いかなぁ……」


 私は先程の子供達の様子を思い浮かべる。

 エイミーの寝間着だけじゃなく、子供達の寝間着はどれも裾が短くて、しかもところどころ生地が薄くなっていた。とても次の季節まで持たないだろう。


(季節ごとなんて贅沢は言わないから、せめて半年──夏と冬用のものを用意できれば良いのだけれど……)


 寝間着だけじゃなく、洋服だってボロボロだ。街の人達からの好意でお下がりを貰っているけれど、それでも全く追いつかない。子供達の成長は早いのだ。

 絵本だって七冊しかないのを日替わりで読んでいるから、もう子供達は暗記していると思う。それでも毎晩嬉しそうに聞いてくれている子供達が健気すぎて涙が出る。
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