巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。

 食費は孤児院の裏の畑で野菜を育てているから、かなり抑えられていると思う。生活用品だって、壊れたら修理して誤魔化しながら使っている。ランプ用の油もなるべく使わないように、子供達を早く寝かせている。

 ちなみに私が読書する時はいつも月明かりを利用している……曇りや雨の日は読書ができないのが難点だけれど。


 今までも収入を増やすために色々考えて行動していたけれど、もう流石に限界だろう。このままでは冬を越せないかもしれない。


「──よし! 決めた!」


 散々考えた結果が他力本願なのは情けないけれど、こうなったらこの国の神殿本部に直談判しに行くしか無い。手紙を出したとしてもすぐ返事が来るかわからないし、返事を待っている間に餓死してしまうかもしれない。

 本当はアルムストレイム教の総本山、アルムストレイム神聖王国に行くのが一番いいけれど、いくらなんでも遠すぎる。

 今は一刻の猶予も無いのだから、王都の神殿本部へ直接行って交渉するのだ。そして叶うのなら、司祭様──お爺ちゃんにも会いたい。


 私はこの孤児院の存亡の危機に立ち向かうため、神殿本部へ乗り込む決意をしたのだった。
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