巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
「これはこれは、セーデルフェルト侯爵令嬢ではありませんか。お会いできて光栄です。私は──」
自己紹介を始める貴族のおじさんに気付かれないように、私はそっとため息をつく。最近こうやって私に声を掛けてくる貴族達が急増しているのだ。
私が聖属性を持っていることはエルとお爺ちゃんしか知らない。今はまだ公表する時ではないからと、三人だけの秘密にしている。
だから今回も貴族令嬢に対する社交辞令の挨拶で済むなら良いけれど。
「──という訳でして、息子も是非令嬢とお会いしたいと申しているのですよ。一度我が屋敷にお越し下さい。丁度庭園の薔薇が見頃でしてね、令嬢も気に入られると思いますよ」
このおじさんのように、私に声を掛けてくる貴族の中に、自分の息子を勧めてくる人がいるから困ってしまう。
「大変有難い申し出なのですが、未熟な私がお招きにあずかるのはかえって失礼になるかと存じます。それに養父の許可なく招待に応じるのは固く禁止されておりますので」
「セ、セーデルフェルト様に……?! わ、わかりました。ならば仕方ありませんね……」
「はい。また機会がありましたら是非」