巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
54 闇属性の真価
エルや子供達と一緒にお散歩していたら、突然目の前にバザロフ司教が現れた。
バザロフ司教は苦悶に満ちた表情を浮かべながら私達を睨むと、鋭い爪で自分の顔や身体を掻き毟りだした。
皮膚が裂け、ドス黒い血が出ても手を止めず、肉を抉りながら黒い涙を流している。
そうしている内に眼球が零れ落ち、目が空洞になってもずっと睨まれているのが不思議と理解できた。
バザロフ司教の身体が徐々に崩れていくと、黒いドロドロとした液体のようなものに変化する。
だけどそんな悍ましい光景を見ているのに、私の心は落ち着いていて、
”──ああ、まるで<穢れし者>みたいだな……“
──なんて、そんなことを冷静に考えている自分を不思議に思う。
バザロフ司教だったモノが私に狙いを定めた気配がして、私はエルや子供達と逃げようとするけれど、いくら必死に走っても全然前に進むことができない。
それでも逃げないと捕まってしまうと思い、必死に走っていると、私の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
『──ラ……、サラ。 ……てく……い』
(あれ? エルの声? どうして私を呼んでるんだろう?)