巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
殺す予定だった貴族達が逃げ出しても、トルスティ大司教の意識はお爺ちゃんに向けられたままのようで、斬られた腕を抑え、痛みに耐えながらもお爺ちゃんを睨みつけている。
今、この玉座の間に残っているのは、睨み合っている二人の他にエルと私、騎士団の人達だけで、国王陛下も既に避難を済ませたようだ。
そしてエルは私を背に庇い、剣を抜いて戦闘態勢に入っている。
「お前の企みはお見通しなんだよ。ほら、残りの水晶玉も出せよ」
私はお爺ちゃんの言葉にぎょっとする。アレをまだ持っているのか、と。
っていうか、よくよく考えたらどうしてトルスティ大司教やバザロフ司教は、浄化せずに闇のモノを持っていたのだろう。
闇のモノは災害レベルの被害を及ぼすけれど、だからといってそんな頻繁に顕れるものではないのだ。
(もしかして、アルムストレイム教は闇のモノを制御する術を持っている……?)
嫌な予感を覚えつつも、お爺ちゃんに問い詰められているトルスティ大司教の様子を窺っていると、もう後がないはずなのに、惚けた表情でお爺ちゃんを見つめている。