巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。

 だけど、ついに<聖水>は残り数本となってしまう。何十本と<聖水>を浴びせたにもかかわらず、まだ消滅には至らない。

 一晩で三つの村を全滅させるという<穢れを纏う闇>の力は、想像より遥かに強かったのだ。


「──くっ!! 殿下、ヴィクトル!! 外からもう一度魔法をっ!!」


 騎士団の中でも闇と光属性はエルとヴィクトルさんしかいないけれど、駆けつけてくれた団員さん達を合わせると、もう一度六属性の浄化魔法が打てる──とお爺ちゃんは考えたようだ。


「「はいっ!!!」」


 最後の力を振り絞り、エルとヴィクトルさんが扉に向かって疾走する。


 そんな二人に気付いたのか、<穢れを纏う闇>がエル達の背中目掛けて瘴気を纏った大量の触手を放出した。


「させるかっ!!」


 お爺ちゃんが触手を次々と切り落とすけれど、流石に数が多すぎて、何本かの触手を打ち漏らしてしまう。


「──!! しまっ──!!」


 瘴気に穢れた触手がエルを貫こうとした瞬間──思わず私はエルを庇うように飛び出していた。


「──っ?! サラっ!!!」


 すぐそばで、私の名前を呼んだエルの声が、私に残された最後の記憶だった。 
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