巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
<聖水>を掛けられた傷口が光り、血が止まったかと思うと、傷ついた内臓が元に戻り、抉られた肉が再生していく。
僕は初めて<聖水>が傷を癒やすところを見たけれど、その様子は正に神の奇跡としか言いようがない光景だった。
「……ふぅ。ギリギリでしたが、これでサラは大丈夫でしょう」
シス殿の無事を告げる言葉に、ようやく僕は息を吐き出すことが出来た。サラの身を案じるあまり、無意識に呼吸を止めていたらしい。
「有難うございます……! ああ、本当に良かった……!! サラ……っ!!」
幾分か顔色が良くなったサラを抱きしめ、規則正しく動く心臓の音に安堵する。
「まったく、このバカ娘は。目を覚ましたら説教だな」
シス殿の意見に、僕は全面的に同意する。
そして、いかに自分が僕にとって大切な存在なのか、サラにはその身を以って理解して貰う必要があるだろう。
僕はサラを抱き上げ、治療室に運ぶべく立ち上がる。
ふと振り返って玉座の間を見ると、破壊され瓦礫まみれになった場所が、サラの光を受けたからか、まるで静謐で神の光に満ち溢れた神殿のように見えた。
その光景がアルムストレイム教を象徴しているような気がしたのはきっと、間違いではないのだろうな、と思う。
そうして、僕はこの腕の中にあるサラのぬくもりに感謝しながら、玉座の間を後にしたのだった。