巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
実際、アルムストレイム教との関わりを避けるのなら、「王太子妃」という肩書は私にとって都合がいい。だけど──。
「……目が覚めたばかりでサラも混乱するでしょうし、この話はまた落ち着いてからにしましょう。今はゆっくり休んで体調を整えて下さい」
エルが私を気遣い、この話の続きはまた後日という流れになるけれど、一瞬だけ見えたエルの表情に不安の色が滲んでいると気付く。
(あ。さっき私が”逃げたい”なんて言ったから……もしかしてエルは私が王太子妃になりたくないって思ってる……?)
本当なら、すぐにでも私の真意を問い質しかったのだと思う。でもエルはいつでも私のことを一番に考えてくれるのだ──自分の感情は後回しにして。
そんなエルのことを、私はたまらなく愛しいと思う。
エルが部屋から出ようとして立ち上がるその手をそっと握り、私はエルを引き止めた。
「サラ……?」
エルが引き止めた私を不思議そうに見る。そんなエルからの視線とこれから言おうとする言葉に、私の顔は段々熱を帯びてくる。
何とも言えない雰囲気が流れる中、お爺ちゃんが軽く咳払いし、すっと席を立って言った。