巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。

「確かに大司教や司教達の行いは看過できません。しかし、アルムストレイム教の教えが人々の救いになっていることもまた事実なのです」


 ヴィクトルさんの言う通り、既にアルムストレイム教は人々の生活に深く浸透し影響を及ぼしている。それを突然排斥するのは現実的ではないし、法国との関係も最悪となってしまうのは、王国としても得策ではないだろう。


「ならば、神殿本部への対応はどうする? このままという訳には行くまい?」


 エルからの問いかけに、ヴィクトルさんは真剣な表情をして返答する。


「私が監査役として神殿本部の動向を見定めます。本部にいる信頼できる者と連携し、聖職者の人選を行い、今まで残っていた悪習を一掃します」


 本国であるアルムストレイム神聖王国は他者からの干渉をものすごく嫌っている。だから通常であればヴィクトルさんの提案は到底認められるものではないだろう。


 だけど、大司教や司教達の失態でアルムストレイム教が王国から排斥されるのを防ぐためには、ヴィクトルさんの提案を受け入れた方が本国にとっても都合が良いだろうな、と思う。
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