巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。

「現在の神殿は国民からの信用も神の光も失われた状態です。そこで私は<救国の聖女>であらせられるサラ様にお力添えをいただきたいのです」


 更に追加されたヴィクトルさんの提案に、自分の名前が出てきて思わずギョッとする。


(え、私?! ……あ。そう言えば以前神殿本部を再建する時は力を貸して欲しいって言われてたっけ)


「オークランス卿! 言葉が過ぎますぞ!! サラ様は大司教のせいで大変苦労されたのですぞ?! 諸悪の根源を滅するならともかく、救済のための助力を乞うとは如何なものか!!」


「サラ様の御威光を利用するつもりか!!」


 元老院議員達がヴィクトルさんの提案に目くじらを立てて反対する。アルムストレイム教への不信感がめちゃくちゃ凄い。


「落ち着け。まずはサラ本人の意見を聞くべきではないか? サラ、お前はどうしたい? 率直な意見を聞かせて欲しい」


 エルが議員達をたしなめて、私へ意見を求めてくる。

 私の答えなんて始めからわかりきっているのに、エルが敢えて聞いてくるということは、私にヴィクトルさんの後ろ盾になって欲しいと思っているからだろう。
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