巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。

(……え。まさかそんな事ない、よね……? 冗談だよね……?)


 私は一抹の不安を感じながら、願わくば冗談の範囲で済みますように、と心の中で祈っておいた。





 * * * * * *





 神殿本部の再建を手伝うために、私は久しぶりにお爺ちゃんと神殿本部へとやって来た。


 ヴィクトルさんが言う通り、小神殿に神聖な空気や静謐な雰囲気は全く無く、神殿がただの建物と成り下がっている。


「この神殿も随分と寂れちまったな」


 ここはお爺ちゃんがアルムストレイム教と、そしてトルスティ大司教と決別した場所だ。

 お爺ちゃんはその時のことを思い出しているのか、祭壇を見上げながらポツリと呟いた。


「……全く、あの野郎……最後まで手間を掛けさせやがって」


 お爺ちゃんはそう悪態をつくけれど、その顔は少し寂しげで……。


 トルスティ大司教がお爺ちゃんに対して抱いていた想いは、きっと彼と同調した私にしかわからない。でもそれは私が簡単に言葉にしていいものではないと思う。


 そんなトルスティ大司教の想いを、私は一方通行だと思っていた、けれど……。
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