巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。

 大罪を犯した人だとしても、お爺ちゃんはきっと、殺したくないぐらいには彼に対して情があったのかもしれない。


「ま、ヴィクトルを助けてやるつもりで頼むわ」


 お爺ちゃんがしんみりとした空気を払拭するかのように笑うから、私も明るく笑顔で答え、気持ちを切り替えることにする。


「うん! 任せて!」


 再建を手伝うと言ったものの、私にできることはほとんど無くて、ただここで祈ればいいだろう、とお爺ちゃんが助言してくれた。


「上手く出来るかどうかなんて気にしなくていいぞ。ただいつも通り心を込めて祈れば大丈夫だからな」


 ソリヤの神殿にいた時もお祈りは毎日していたし、その心得も理解している。お爺ちゃんもいつも通りで良いと言ってくれたので、だいぶ気持ちが楽になった。


 私は祭壇の前に跪き、目を瞑って祈りを捧げる。


 ──神の教えを広め、心に安らぎを与え、人々の心の拠り所として、もう一度この神殿に祝福を与えていただけますように──


 人々の心に平穏を、と願いながら、この機会が与えられたこと、今この瞬間生かされていることに感謝する。
< 488 / 503 >

この作品をシェア

pagetop