巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
悪魔の中でも序列があるんだな。確かに下位の者に舐められるのは嫌だよねぇ。うーん世知辛い。
「よく分からないけど、頑張ってね」
聖職者が悪魔に頑張れって、罰が当たりそうだと、言ってから気が付いた。でもエルが「有難うございます、頑張ります」と笑顔で言ったものだから……。
──この笑顔が見られるのなら、ちょっとぐらい罰が当たってもいっか、なんて思ってしまった。
「……あ、そう言えば……」
エルが何かを思い出したように呟くので、何だろうと思って言葉の続きを待っていると、段々エルの顔が不機嫌になっていった。
(あれ? 何だか怒ってる? 何でだろう?)
エルに怒られるような心当たりが無い私は、不機嫌な顔でも綺麗だな、なんて呑気に考えていた。
「先日孤児院に訪ねてきた男は誰ですか? 随分親密だったようですが」
……んん? 親密な男? そんな人物思い当たらないんだけど。私と親密な男の人ってお爺ちゃ……じゃない、司祭様しかいないよね。
「そんな人いるの? 誰?」
自分の事なのに思わず他人事みたいな事を言ってしまった。