「Of My Disteny」ー手、繋ごうー
destiny4.2人でご飯
“しなくてもいいよ”


一ノ瀬くんはなんでそんなこと言ったのかな。

どうして私はそんなに気にしてるのかな。

一ノ瀬くんは何を考えてるのかな。



ピーッと笛の音が運動場中に響いてる体育の時間。

入学早々の体力テスト、順番にスタートを切って50メートルのタイムを測る。

誰もが必死に走ってる…

それは普通のこと。

1番になりたいと思って一生懸命がんばってる。

そんな私は体育も平均以下の凡人なんだけど。

でもがんばってるんだよ!

がんばってはいるの!

自分の番が終わってグランドの隅っこで走っているみんなの姿を見ていた。

あ、次一ノ瀬くんだ。

念入りにふくらはぎを伸ばしてる、何をするにも真面目な人だなぁ。

そう思えば思うほど、どうしてあんなことを言ったのかわからなくて引っかかる。

パンッというピストルの音で走り出した。
2人1組で行う50メートル走、隣のレーンのクラスメイトをどんどん引き離して一ノ瀬くんはゴールした。

え、実は運動もできるの…!?

毎日の勉強だって欠かさないのに、運動も…!?

しかもあの王子様みたいなルックス…!


か、完璧すぎる…!!!


あの言葉の意味が少しわかったように思えた。


私じゃ全然釣り合わない!


一ノ瀬くんと私じゃ天と地の差ぐらいあるんじゃないの?

このままじゃ捨てられちゃう!

だって、この学園でみんなが目指すものってひとつしかないのに。


-ドンッ


「わっ」

後ろからの衝撃で前に転んでしまった。
何かと思って振り返ると、私よりはるかに背の高い男の子が立っていた。

「邪魔なんだよ、そんなとこで突っ立ってんなよっ」

「あ、ごめ…んなさい…」

なるべく隅っこに気配を消すように立っていたつもりだったのに。 

ボケッとしてたからだ、立ったまま考え事してたからだ…!

睨まれた視線が突き刺さるように、震えて声が出なかった。

どうしよう、怖い…!
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