LIBERTEーー君に
「そうなのか」

「おそらくだけど。エリザベートでも幾人か突っ掛かってきた奴がいた」

「周桜Jr.と言われるのは……」

「気にしない。今は君の伴奏者だ。シューマン/ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第2番、集中しよう」

『黄昏の歌』という題名がついている。

シューマンが精神障害を煩い、様々な症状に悩まされるようになってから作曲された。

クララとの結婚生活は安穏とは言えなかったようだ。

「ピアノとヴァイオリンの語らいは、シューマンの生涯を考えると、シューマンとクララの語らいのようにも思えないか」

「好きに弾いていいんだろう?」

「ああ」

ミヒャエルは詩月の様子を窺いながら詩月の歩調に合わせて、ゆっくり歩いた。

舞台裏に着くと前のコンテスタントがブラームス/ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第1番 ト長調Op.78。を演奏していた。
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