LIBERTEーー君に
詩月は目を閉じ数回、ゆっくりと息を吸った。
練習中も、詩月がふとした時に見せる仕草が、ミヒャエルを不安にさせた。
エィリッヒを予備の伴奏者に申請して、演奏を合わせたのも詩月の体調を考えてのことだ。
それを痛感させられる。
「行くよ」
ミヒャエルは詩月が何事もなかったように、ゆっくり歩き出しホッとする。
エィリッヒの伴奏では1度も満足できなかった。
詩月でなければ、思い切り演奏できなかった。
詩月には気兼ねせず、安心して伴奏を任せられた。
今、詩月に倒れられたら、そう思うと不安しかなかった。
「大丈夫なのか」
「ああ」
詩月の声で調子を確認し、後ろを振り返った。
先ほど、声かけてきたコンテスタントの姿はもう見えなかった。
「ああいう輩は誰かに八つ当たりしたいだけだ。おおかた審査の評価に納得できなかったんだろう」
練習中も、詩月がふとした時に見せる仕草が、ミヒャエルを不安にさせた。
エィリッヒを予備の伴奏者に申請して、演奏を合わせたのも詩月の体調を考えてのことだ。
それを痛感させられる。
「行くよ」
ミヒャエルは詩月が何事もなかったように、ゆっくり歩き出しホッとする。
エィリッヒの伴奏では1度も満足できなかった。
詩月でなければ、思い切り演奏できなかった。
詩月には気兼ねせず、安心して伴奏を任せられた。
今、詩月に倒れられたら、そう思うと不安しかなかった。
「大丈夫なのか」
「ああ」
詩月の声で調子を確認し、後ろを振り返った。
先ほど、声かけてきたコンテスタントの姿はもう見えなかった。
「ああいう輩は誰かに八つ当たりしたいだけだ。おおかた審査の評価に納得できなかったんだろう」