LIBERTEーー君に
ビアンカは呟きながら、頭に浮かんだ動画のテロップをメモした。

詩月は「ショパンは苦手だ、嫌いだ」と言いながら、ショパンをこんなはにも情感豊かに演奏するじゃないかと思った。

ビアンカは詩月の熱い思いが伝わって、胸が痛かった。

「動画のタイトルは『LIBERTE  君に』だね、詩月」

ビアンカがスケッチブックに走り書きした文字をサッとピアノのスタンドに置いた。

詩月は大きく頷いた。

「そうだ。『LIBERTE  君に』……誰よりも緒方と演奏したいんだ。この曲、ショパンの『雨だれ』を緒方に聞かせたいんだ。他の誰でもない。緒方とショパンの『雨だれ』を演奏したいんだ」

詩月はひとしきり声に出したかと思うと、演奏を再開した。

ショパンの「雨だれ」が優しくBALに響き渡った。



Fin.
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