LIBERTEーー君に
「そうだ、アイツだよ、ミヒャエルだ」

ーー俺が周桜の隣で弾きたいよ

「あ……、もしかしたらコンクール対策なのかも」

郁子が珈琲カップに手をかけたが、手を止め閃いたように言った。

ーーコンクール対策……あっ!!

「どうした、思い当たるコンクールでもあるのか?」

理久が貢に訊ねるが、貢は黙りこんだまま返事がない。

ーー ……ヨハネス・ブラームスコンクールの1次からファイナルまで全てにブラームスのヴァイオリンコンチェルトが課題曲の選択曲候補に入っている

貢は数分間、沈黙した後。

真面目な声で、紙を捲る音をさせながら言った。

コンクールの説明要項を念入りに読み返しているらしい。

ーー全ての審査に、ブラームスのコンチェルトを演奏するのかもしれない。だとしたら相当な自信だな

「貢。お前もブラームスコンクールに挑戦するのか?」

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