LIBERTEーー君に
「えーーっと、たしかミヒャエルと言ったか」

なのに、理久は髪型や背格好などで、確信しているようだ。

「上手いわね。貢にも引けを取らないくらい」

「だな。貢、アイツどうしてるかな?」

「きっとコンクールの課題曲と自由曲漬けになっているはず」

郁子は笑いながら、画面をじっと見つめていた。

「ミヒャエル? 彼より周桜くんの方が断然上手い」

「当たり前だ。詩月は昨年のエリザベートコンクール優勝したヴァイオリニストだぜ」

「そうね。やっぱり周桜くんはスゴい人ね」

理久と郁子が話していると、不意に理久のスマホが着信音を鳴らした。

「貢。今、お前がどうしているかと話していたところ」

ーーそう。それより、ケルントナー通りの動画だ。観たか?

「ああ。こいつら何で毎回ブラームス弾いてんの?」

ーーそうなんだ、ブラームスしか弾いてないんだ。それに周桜と弾いているコイツ
< 39 / 258 >

この作品をシェア

pagetop