LIBERTEーー君に
「ユリウス、そんな大層な効果はないよ。楽譜にかじりついて窮屈な練習をしたくないんだ。どうせ演奏するなら、楽しく演奏したいし、聴き手が居たほうがいい」

詩月が言うと、宗月もハインツもユリウスもエィリッヒも和やかに笑い出した。

「1人よがりの演奏をするのは、つまらない。生で直に反応を知りたい」

「街頭演奏を始めた当初、震えて泣きながら演奏していた本人とは思えないな。泣かずに演奏できるまで、半年以上かかったと聞いているが」

「……何年前の話だよ」

詩月は舌打ち混じり呟いて、顔をそむけた。

「仕方なかっただろう、宗月。お前を引き合いに出され、行く先々でJr.と呼ばれては萎縮もしただろうよ。なあ、詩月」

ユリウスは普段、詩月がJr.と呼ばれる時の不機嫌そうな様子を見ているためか、詩月の気持ちを察して言った。

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