あの花が咲く頃、君に会いにいく。
ぼーと座り込んでいると、制服姿の楓が下から顔を覗き込んできた。



「思い出したの!茅乃と私は、家が近くて小さな頃からの幼なじみで、よく一緒に遊んでて幼稚園から中学校も一緒だったし、いつも一緒にいて。高校の入学式の日にも一緒に写真を撮って、ずっと友達だよって約束して、でも…いっ…っ」



入学式の後のことを思い出そうとするけど、その後がもやがかかっているかのようにうまく思い出せなくて頭がずきりと痛むだけだった。



「どうした?」


「この先が…わからない。どうして。あと少しなのに…」


「焦らなくていい。今はそれだけ思い出せただけでも十分だよ。とりあえず俺は学校に行くけど…早乙女はどうする?」


「私も行く」



今は少しでも茅乃に接触して、記憶を取り戻さないと。



学校に向かっている途中でそういえばと、昨日の茅乃がおかしな様子だったことも楓に話す。


楓は少し考え込む仕草をしてから、「今日も中町と話してみるよ」と言っていた。





「中町、ちょっといいか」



放課後、帰る支度をしていた茅乃に楓が話しかけると、茅乃はびくりと反応してから、諦めたように頷いた。


楓は茅乃を連れて、誰もいない屋上前にやってきた。



男子が放課後屋上前に女子を呼び出す。


そんな憧れの告白シチュエーションだと言うのに、二人にはそんな甘い雰囲気なんてさらさらなく、ピリピリとしていた。
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