オタクな俺とリアルな彼女。
目が合わなくなって,俺は幾分落ち着く。
「水無月,薫…です。奏…じゃなかった…えと」
「薫,いい名だ。私の事は好きに呼べ。但し,その名ではもう呼ぶな」
好きに,好きに…?
ずっと1年も前,彼女が配信を始めた時から,俺の中ではずっと奏さんだった。
今さら変えるなんて出来ないし,本来知り得ない本名を呼ぶなんて気が引ける。
どうする,どうする。
あ。
「先輩,でもいいですか」
「…ああ」
先輩はひたりと指を頬に置いて,頷く代わりにゆっくりと瞬きをした。
やっぱり……綺麗だ。
「疑いようがない。君は……私の,"氷室奏"のリスナーなんだな?」
先輩はとんとんと考えるようにメガネのつるをつつく。
思考に沈む目が合わなくなって,最終確認のように俺にまた目が向けられた。
俺も,疑いようがない。
その,人に向けているのに,1人で考察をしているような話し方。
全部全部,彼女のものだ。
「…はい。コメントは…したことないですけど……初配信から,たまたま……」
「水無月,薫…です。奏…じゃなかった…えと」
「薫,いい名だ。私の事は好きに呼べ。但し,その名ではもう呼ぶな」
好きに,好きに…?
ずっと1年も前,彼女が配信を始めた時から,俺の中ではずっと奏さんだった。
今さら変えるなんて出来ないし,本来知り得ない本名を呼ぶなんて気が引ける。
どうする,どうする。
あ。
「先輩,でもいいですか」
「…ああ」
先輩はひたりと指を頬に置いて,頷く代わりにゆっくりと瞬きをした。
やっぱり……綺麗だ。
「疑いようがない。君は……私の,"氷室奏"のリスナーなんだな?」
先輩はとんとんと考えるようにメガネのつるをつつく。
思考に沈む目が合わなくなって,最終確認のように俺にまた目が向けられた。
俺も,疑いようがない。
その,人に向けているのに,1人で考察をしているような話し方。
全部全部,彼女のものだ。
「…はい。コメントは…したことないですけど……初配信から,たまたま……」