あの日の誓い
***
ハナが津久野さんと無事に別れて、山下探偵事務所に再就職。バタバタしてる間に、1ヶ月が経った。
今日は日勤で17時半に病院を退勤し、徒歩で山下探偵事務所に向かう。航希くんの仕事終わりが18時頃なので、待ち合わせ場所を事務所の前にすると、タイミングよく逢うことができた。
病院から出る前にラインで事前に連絡していたけれど、既読にならずスルーされた様子で、航希くんのやってる仕事が忙しいことを悟る。もしかしたら残業になる可能性もあるなぁと思いつつ、10分弱で事務所前に到着した。
「絵里、お疲れ~!」
私を見つけたハナがビルから出てくるなり、にこやかに声をかける。私は利き手をあげて、「おつー」と返事した。
「榊原くん、所長に捕まってるから、いつもより出てくるのが遅いと思うよ」
「わかった、ありがと。ハナは仕事、だいぶ慣れた感じ?」
こうして直接逢うのが久しぶりで、思わずハナの様子を訊ねてしまった。
ミッションの関係で、無理を言ってお休みを適度にいただいてしまったため、その後は連勤で働きつつ、航希くんとデートを重ねたり、ハナは事務所の仕事に慣れるために頑張ったりと、お互い休日はバタンキューしていたので、音信不通を解消すべく問いかけた。
「やっと、一通りの仕事をこなせるようになったよ。副所長の田所さんが丁寧に教えてくれたおかげもあるけど、毎回依頼される仕事が刺激的で、書類仕事だけでもなんだか楽しくって」
「そうなんだ、よかった」
「所長の山下さんもいい人だし、ここで働くことができてラッキーだったと思う。あのままでいたら、私の人生の数年を棒に振るところだった。絵里、ありがとね」
笑っているのに、じわりと涙をにじませるハナの姿に、胸がこみあげてきてしまい、無言で首を横に振るのが精一杯だった。ハナは私の手を両手で掴み、ぎゅっと握りしめながら声高に宣言する。
「私、今度はちゃんとした恋愛する。ここにやって来る依頼人の話を聞いて、しっかり目と耳を養って、いい男をゲットするから!」
「あはは、期待していい報告待ってる」
「私もいい報告待ってるんだぞ。いい加減に、榊原くんに食べられちゃいなさい」
「へっ?」
ハナの爆弾発言に、自分の頬が赤くなったのがわかった。照れる私の手を放したハナは、大きく腕を振りかぶって背中を強く叩く。
「いたっ!」
「キス以上、進んでいないことくらい知ってるんだぞ。飢えたオオカミが自信喪失する前に、さっさとみずからを提供しなきゃ」
「ちょっと、やだ! 航希くんってば、絵里にそんなこと喋ってるの?」
「違うちがう。私はデートの次の日に『どうだった?』って聞いてるだけ。『楽しかったですよ』と言って浮かない顔してたら、誰だった気づくでしょ」
そのセリフで、顔を俯かせた。航希くんと付き合うことが決まってから、適度なぽっちゃりボディをなんとかすべく、密かにダイエットを決行。現在進行形でかんばってる最中なれど、この体を見て引かれたりしないだろうか。
「絵里がダイエットしてることくらい、私だって気づいてるよ。いい感じで絞ることができてるのに、なんで怖気づいているのやら」
「ホントに、大丈夫かな」
「今の絵里はすっごくかわいい。親友の私が言うんだから、大船に乗った気持ちでいなさいよ。絶対に嘘なんてつかない、絵里信じて」
心に響く熱い言葉を聞いて顔をあげたら、ハナの瞳が射竦めるように私に注がれた。
ハナが津久野さんと無事に別れて、山下探偵事務所に再就職。バタバタしてる間に、1ヶ月が経った。
今日は日勤で17時半に病院を退勤し、徒歩で山下探偵事務所に向かう。航希くんの仕事終わりが18時頃なので、待ち合わせ場所を事務所の前にすると、タイミングよく逢うことができた。
病院から出る前にラインで事前に連絡していたけれど、既読にならずスルーされた様子で、航希くんのやってる仕事が忙しいことを悟る。もしかしたら残業になる可能性もあるなぁと思いつつ、10分弱で事務所前に到着した。
「絵里、お疲れ~!」
私を見つけたハナがビルから出てくるなり、にこやかに声をかける。私は利き手をあげて、「おつー」と返事した。
「榊原くん、所長に捕まってるから、いつもより出てくるのが遅いと思うよ」
「わかった、ありがと。ハナは仕事、だいぶ慣れた感じ?」
こうして直接逢うのが久しぶりで、思わずハナの様子を訊ねてしまった。
ミッションの関係で、無理を言ってお休みを適度にいただいてしまったため、その後は連勤で働きつつ、航希くんとデートを重ねたり、ハナは事務所の仕事に慣れるために頑張ったりと、お互い休日はバタンキューしていたので、音信不通を解消すべく問いかけた。
「やっと、一通りの仕事をこなせるようになったよ。副所長の田所さんが丁寧に教えてくれたおかげもあるけど、毎回依頼される仕事が刺激的で、書類仕事だけでもなんだか楽しくって」
「そうなんだ、よかった」
「所長の山下さんもいい人だし、ここで働くことができてラッキーだったと思う。あのままでいたら、私の人生の数年を棒に振るところだった。絵里、ありがとね」
笑っているのに、じわりと涙をにじませるハナの姿に、胸がこみあげてきてしまい、無言で首を横に振るのが精一杯だった。ハナは私の手を両手で掴み、ぎゅっと握りしめながら声高に宣言する。
「私、今度はちゃんとした恋愛する。ここにやって来る依頼人の話を聞いて、しっかり目と耳を養って、いい男をゲットするから!」
「あはは、期待していい報告待ってる」
「私もいい報告待ってるんだぞ。いい加減に、榊原くんに食べられちゃいなさい」
「へっ?」
ハナの爆弾発言に、自分の頬が赤くなったのがわかった。照れる私の手を放したハナは、大きく腕を振りかぶって背中を強く叩く。
「いたっ!」
「キス以上、進んでいないことくらい知ってるんだぞ。飢えたオオカミが自信喪失する前に、さっさとみずからを提供しなきゃ」
「ちょっと、やだ! 航希くんってば、絵里にそんなこと喋ってるの?」
「違うちがう。私はデートの次の日に『どうだった?』って聞いてるだけ。『楽しかったですよ』と言って浮かない顔してたら、誰だった気づくでしょ」
そのセリフで、顔を俯かせた。航希くんと付き合うことが決まってから、適度なぽっちゃりボディをなんとかすべく、密かにダイエットを決行。現在進行形でかんばってる最中なれど、この体を見て引かれたりしないだろうか。
「絵里がダイエットしてることくらい、私だって気づいてるよ。いい感じで絞ることができてるのに、なんで怖気づいているのやら」
「ホントに、大丈夫かな」
「今の絵里はすっごくかわいい。親友の私が言うんだから、大船に乗った気持ちでいなさいよ。絶対に嘘なんてつかない、絵里信じて」
心に響く熱い言葉を聞いて顔をあげたら、ハナの瞳が射竦めるように私に注がれた。