あの日の誓い
♡♡♡
ミッション実行前夜、絵里は落ち着かない気持ちを抱えたまま、ベッドで横になりながらスマホでネットサーフィンをしていた。
眺めていた画面が突如変わり、着信を知らせる。相手の名前が目に飛び込んできたせいで、すぐにタップし、画面に話しかけつつ起き上がった。
「航希くん、どうしたの? なにか問題発生?」
開口一番に訊ねると、画面の向こう側から落ち着いた声が聞こえる。
「問題は発生していないんですけど、気づいたことがあって電話しちゃいました」
「気づいたこと?」
「斎藤さん、慣れないことをこれからしようとしてるから、肩にいらない力が入ると思うんです」
「うんうん、それで?」
「そういうプレッシャーみたいなのを、山に向かう道すがら、車の中で解せたらいいなと思いまして。俺ひとりじゃ荷が重いので、絵里さんにも手伝ってほしいなって」
「航希くんすごいね。私全然気にしてなかった」
「あ、ほら、俺、普段からいろいろやってる関係で、気づいたというか」
「ありがとね。私も手伝うよ」
「助かります。それと、ですね……」
「なに?」
「さっきまで四足歩行の練習、してたんですけど――」
「野犬になりきるヤツね。本物がいたらよかったのに」
「訓練された犬じゃないと無理ですよ。本番一発勝負なんですし」
「航希くん練習してくれたんだ、偉いね」
「失敗は許されないですし、完璧にこなそうと思って、撮影しながらやってみたんですけど、絵里さんドン引きしないでください」
「そんなのしないよ、安心して」
「でもすごく醜いというか、変というか」
「絶対笑ったりしないし、大丈夫!」
「……嫌いにならないで、ほしいデス」
「嫌いにならないよ」
「ホントに?」
「本当だよ」
「じゃあ、好きになってくれませんか?」
「!!」
「俺を好きになってほしい、デス。イッチャッタ……」
「航希くん――」
「今言わなきゃ、明日は全員集合で言う機会ないし、それに野犬の真似をして嫌われたくなかったから、念押ししようと思ったのは確かで」
「うん」
「絵里さんの好みって、どんなヤツなんですか?」
「わっ、私の好み!?」
「好きな人の好みに、少しでも近づきたいなと思いまして」
「そんなのいないよ。なんかほら私の周りって、ハナを含めて、恋愛に苦労してる人ばっかりで、そんなの見てたら、恋愛する気力がなくてね」
「今まで誰かに告られたこと、ないんですか?」
「え、あ……その、あるよ」
「やっぱり。それって、いつのことですか?」
「10日くらい前……」
「それって、つい最近のことじゃないですかっ! 相手は誰なんですか? どんなヤツ? カッコイイ感じ? もしかしてお医者さんですか?」
「航希くん落ち着いて。確かに職場の人だけど、そういう対象に見えないコだったの」
「その言い方、お相手は年下なんですね?」
「うん。私が教育係で、面倒を見てたコ」
「絵里さんすっごく優しいし、面倒みもいいから、きっとその彼に好かれたんですね。もう付き合ってるんですか?」
ミッション実行前夜、絵里は落ち着かない気持ちを抱えたまま、ベッドで横になりながらスマホでネットサーフィンをしていた。
眺めていた画面が突如変わり、着信を知らせる。相手の名前が目に飛び込んできたせいで、すぐにタップし、画面に話しかけつつ起き上がった。
「航希くん、どうしたの? なにか問題発生?」
開口一番に訊ねると、画面の向こう側から落ち着いた声が聞こえる。
「問題は発生していないんですけど、気づいたことがあって電話しちゃいました」
「気づいたこと?」
「斎藤さん、慣れないことをこれからしようとしてるから、肩にいらない力が入ると思うんです」
「うんうん、それで?」
「そういうプレッシャーみたいなのを、山に向かう道すがら、車の中で解せたらいいなと思いまして。俺ひとりじゃ荷が重いので、絵里さんにも手伝ってほしいなって」
「航希くんすごいね。私全然気にしてなかった」
「あ、ほら、俺、普段からいろいろやってる関係で、気づいたというか」
「ありがとね。私も手伝うよ」
「助かります。それと、ですね……」
「なに?」
「さっきまで四足歩行の練習、してたんですけど――」
「野犬になりきるヤツね。本物がいたらよかったのに」
「訓練された犬じゃないと無理ですよ。本番一発勝負なんですし」
「航希くん練習してくれたんだ、偉いね」
「失敗は許されないですし、完璧にこなそうと思って、撮影しながらやってみたんですけど、絵里さんドン引きしないでください」
「そんなのしないよ、安心して」
「でもすごく醜いというか、変というか」
「絶対笑ったりしないし、大丈夫!」
「……嫌いにならないで、ほしいデス」
「嫌いにならないよ」
「ホントに?」
「本当だよ」
「じゃあ、好きになってくれませんか?」
「!!」
「俺を好きになってほしい、デス。イッチャッタ……」
「航希くん――」
「今言わなきゃ、明日は全員集合で言う機会ないし、それに野犬の真似をして嫌われたくなかったから、念押ししようと思ったのは確かで」
「うん」
「絵里さんの好みって、どんなヤツなんですか?」
「わっ、私の好み!?」
「好きな人の好みに、少しでも近づきたいなと思いまして」
「そんなのいないよ。なんかほら私の周りって、ハナを含めて、恋愛に苦労してる人ばっかりで、そんなの見てたら、恋愛する気力がなくてね」
「今まで誰かに告られたこと、ないんですか?」
「え、あ……その、あるよ」
「やっぱり。それって、いつのことですか?」
「10日くらい前……」
「それって、つい最近のことじゃないですかっ! 相手は誰なんですか? どんなヤツ? カッコイイ感じ? もしかしてお医者さんですか?」
「航希くん落ち着いて。確かに職場の人だけど、そういう対象に見えないコだったの」
「その言い方、お相手は年下なんですね?」
「うん。私が教育係で、面倒を見てたコ」
「絵里さんすっごく優しいし、面倒みもいいから、きっとその彼に好かれたんですね。もう付き合ってるんですか?」