小児科医の恋愛事情 ~ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ~
第4章 独占欲
「ただいまー・・」

リビングが明るいのに、返事が無い。
でも、明かりがついているということは・・。

そーっと仕事部屋のドアを開けると、ブツブツと英語と日本語を操る彼女がいた。
国際会議に向けた翻訳の仕上げがあると言っていたから、集中して仕事をしているんだろう。

静かにドアを閉めようとしたところで、彼女に見つかった。

「お帰り。ごめん、気が付かなくて」

「いや、いいんだ。俺の方こそ邪魔してごめん。何か・・飲むか? 休憩したら?」

「うん、そうだね」

一緒にリビングに戻り、紅茶を入れる。
彼女のトレイには、マグカップとプリンを乗せた。

「はい、どうぞ」

「え・・買ってきてくれたの?」

「うん。といっても、お店じゃなくコンビニのプリンだけどね。頑張ってるから」

「祐一郎やさし~」

大げさな反応に笑いつつも、こうしてふたりでいられる時間に幸せを感じていた。
一緒に暮らすようになり、ふたりの時間が格段に増えたことが嬉しかった。


「国際会議、いつだっけ?」

「今度の木・金。だから、その前日の水曜と木曜は会議場近くのホテルに泊まるように言われてる。当日、交通トラブルで行けないと困るからだって。
さてと・・もう少し仕事するね」

「ほどほどにな。辛くなったら、寝てても必ず起こして」

「うん。おやすみ」

俺は毎晩、同じセリフを彼女に伝えている。
『辛くなったら、寝てても必ず起こして』と。

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