勇気を翼に込めて。

通信速度、シャープ

通信速度、シャープ


「それは、アレですよ。」


「何?」




「自慢しに来たんです。」



「自慢?」

実は私、


その時。


「神木先生、至急お戻りください」

全体アナウンスがかかる。



「ごめんね。」


一言そう言って先生は立ち去ろうとする。慌ただしいけど仕方ないことだから。



「先生!」


「私のヒーロー、応援してます。」


先生の顔が少し優しげになって。手を振りかえしてくれた。それが素直に嬉しい。



「私って単純だなあ。」

こんなちょっとのことで幸せになってしまう。


私のヒーローなのにみんなに必要とされて大変だなあ。


「さて」


私は、もう一つやらないといけないことがある。



「目の調子悪くなりました。


でも本音を言ったら相手もわかってくれて安心できて。何とかなりました。ありがとうございました。」



送信、と。



通信速度は、とても速くて。私たちはお互いを見失いそうになるんだ。
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