勇気を翼に込めて。

まとめられぬ四分音符

まとめられぬ四分音符


「だめだ。」


「ラブレターが書けないよ、雛ちゃん!」

「告白したいー、先輩と付き合いたいー!」

高校に通う、元同級生で友達の歌恋が喚く。


「それで?……そっちはどうなのよ。」


焼けを起こしたのか私にまで飛び火がかかる。


「私のことはいいから……」

良くない!歌恋が机を叩く。


歌恋は暴走すると私みたいにガサツで荒くなるけど、とっても可愛い女の子。来年、18歳になる新成人よ。💕




「雛ちゃんは好きな人、いるの?」

歌恋と仲良くなったのは、私が再入学した高校で。私は、高一で18歳だった。つまりもう大人。

周りの子と仲良くなれるか不安だった。

でも話しかけてくれる子がいた。それが歌恋だった。



私は……、


実は。

「あれから、会いにいけてないの。目の調子が悪くて。」


「あーね、目の調子が悪くなるの、法則掴めたんじゃなかったけ?」


「それがさー。」


薄々気がついていた。これはまぐれで、


「あの、ガセネタ信じちゃったあんたが悪いなー。」


ちょっと!

「だって所詮ただの占いでしょう?

入会してまで受ける価値ゼロ。」


むう、私はぐうの音も出ない。



「でも、それぐらい悩んでて必要だったってことでしょう?」


「うん。」

「ならいいんじゃない、携帯端末で、一回2000円は高いと思うけどー!」


実直なところ、困りごとを送ってくださいって時点でメールアドレス、名前、携帯番号、性別、年齢。だんだん怪しく感じてきて歌恋に相談したんだ。

「そんなの普通よ、考えすぎ〜」

歌恋はそう言ったけど値段を聞いて「ぼったくりだー!」って大反対された。それでもう大変だった。

メールアドレス変えな。歌恋に言われて変えちゃったから。

「先生に教えた連絡先、使えないじゃん。」

「向こうからはもらわなかったの?」

「だって先生仕事中にスマホいじらないでしょっ?」

「仕事中に良く告白しに行ったね。」




歌恋の皮肉なんてどこの空。

「メールアドレス戻すのは怖いじゃん、お医者さんにもう嫌われたかもじゃん。もう終わりじゃん?」


「ネガティブな思考、素晴らしい。」

歌恋のラブレターも、応援したいけどやっぱり先生に、

「会いに行く!」


「お。」


「歌恋、待っててね。」「いってらー。」


こうして私は二度目の里帰りをするのでした。

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