あなたは私の王子様
「それで、なにがあったの?」

「えっと、いじめられてたの。」

「誰に?」

そう聞く葵くんの声には怒気がこもっている。

「藍月胡桃ちゃんと、二葉若菜ちゃんと、望月愛ちゃん…。」

「あいつらか。それで不登校に?」

「うん。暴力の日々で、担任も見て見ぬふりでもう嫌になってっ……」

涙が溢れ出てくる。

その時、私を大きな何かがふわっと包んだ。

とまどいすぎてそれが葵くんだと気づくのにはかなり時間がかかった。
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