私のお願い、届いてますか?
「…寝る」

「あっ、うん。おやす」

グイッ

「えっ?」

秀人が立ち上がったのと同時に、私の身体が引き寄せられ、フワッと持ち上げられる。

な、なんで?

状況が理解できなくて、頭の中が真っ白になる。

私、今お姫様抱っこされてる?

ベットに仰向けに下ろされた私は、なぜか、寝ると言っていた秀人に上から見下ろされてる体勢になっている。

「…眠いんじゃ…「眠い」

「じゃ、じゃあ…」

寝た方がいいんじゃない?って言おうとしたのに、秀人が、フッと笑ったのが見えて何も言えなくなった。

そっと、私の髪の毛に指を通して、自分の口元に近づける秀人に、私の顔が熱くなる。

「…梨々香の匂いだ…」

その言葉に、私は恥ずかしくなって思わず顔を逸らした。でも、すぐに秀人の手によって向きを直される。

「…昨日…迎えにいってる時、どんな気持ちだったと思う?」

えっ…?

「…向かってる間に、何かあったらって思うと、生きた心地しなかった…」

「ごめん…」

「梨々香が謝ることじゃないけど…でも、もう少し危機感持って」

真剣な眼差しの秀人の言葉に、私はゆっくりと頷いた。

それを見て、秀人はボスっと枕に顔を埋める。

「…添い寝してよ」

「えっ…?」

< 103 / 137 >

この作品をシェア

pagetop