私のお願い、届いてますか?
第7章 偶然か必然か
会社が近づくにつれて、私の心も体も重くなっていく。

…色々陰で言われてるのかな…。

昨日の更衣室での出来事を思い出して、心拍数が上がっていく。

「おはよう、河田さん」

後ろから、ポンっと肩を叩かれて、心臓が跳ね上がる。

「あっ…先輩。おはようございます」

振り向いた先にいたのは、今日もキラキラオーラを放っている隣の席の玲子先輩。

「そんな暗い顔してると、運気逃げちゃうわよー?」

昨日のことを知っているからこそ、冗談混じりに励ましてくれる先輩の言葉に、胸の中が熱くなる。

「…彼氏さんとは、話できたの?」

「はい…。信じてくれて、誤解はしてなかったです。ただ…」

「ただ…?」

心配そうに私の顔を覗き込む玲子先輩。私は、ギュッと唇を噛み締めて口を開いた。

「…傷つけたことにはかわりないと思っていて…もっと彼氏を支えてあげられるような彼女にならなきゃって…反省したんです…」

「…そんな思い詰めなくても…」

玲子先輩の言葉に首を横に振る。

「私、会えなくて寂しいなって思ったり、でも仕方ないって思ったり…不満っていうわけじゃないですけど…そういう気持ち持ってたけど…それってすごく自分勝手な考えだったって思って…。結局、迷惑かけてるのは私の方だって…」

夜中、ふと目が覚めた時にそんなことが頭をよぎった。

秀人の優しさに甘えてたのは私なんだって。

「…恋愛って難しいわよね。依存し合いすぎても、放置しすぎても上手くいかなくなっちゃう。でも…きっとお互いの気持ち伝え合うことが大切なのよね。付き合って、長いんでしょ?きっと大丈夫よ、河田さんなら」



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